docomo bikeshare(「NOLL」へサービス名刷新予定)
2018 -
01. Context
すでに全国展開していた公共シェアサイクル事業について、IoT スタートアップの立ち上げ経験を持つデザイナーとして声がかかった。「端末をどう直すか」という問いを「事業全体をどの順序で建て直すか」へ再定義し、当時の最新デジタルプロダクト基準でほぼ全てをリデザインする方針と、その実行順序を最初の提案としてまとめた。
02. Concept
中核に据えたのは「公共交通として当たり前に使える」ことだった。使うまでの心理的・認知的ハードルを徹底的に下げ、事業者都合の情報表示や広告、過剰なブランド主張を削ぎ落とす。シェアサイクルから「ストレスを与えずに、簡単に使えること」だけを残す方向に振り切った。リデザインの順序設計には「事業への即効性」と「実現までのリードタイム」という二軸の判断基準を据え、まずアプリのフロントエンド、続いてバックエンド、そしてハードウェアへと段階展開する道筋を描いた。
03. Structure
コンセプトを、サービスの各レイヤーに翻訳した。
- App(フロントエンド):iOS/Android アプリの UI/UX 全体、画面設計、利用フロー
- App(バックエンド/システム連携):予約・決済・位置情報・拠点情報など、初期リビルドの基本設計アドバイス
- Hardware:新型端末(操作パネル、施錠機構、ディスプレイ、ボタン配置)、関連アクセサリー
- Sound:操作音、フィードバック音
- Interaction:端末とアプリの連携体験、QR/解錠/返却の各タッチポイント
- Service Design:登録〜利用〜返却〜サポートまでの全体フロー、CS・サポート設計
- Visual / Communication:アプリストア周辺やウェブサイトブランディングの一部アドバイス
アプリだけを作り替えるだけではなく、システムも含めたサービス全体のリビルド、上流の体験コンセプトから現場のディテールまでを一つの頭で行き来する役割。
04. Role & Engagement
- Mode: 総合プロデュース / デザインパートナー / 長期伴走
- Duration: 2018 -
- Phase: 新ハードウェア/アプリの大規模リデザインのタイミングを区切りとして、関与の濃度を変動させながら継続。NOLL 刷新予定に向けてデジタルプロダクト軸での伴走を中心に
- Touchpoints: 概念設計 / 構造設計 / 浸透計画(すべて)
05. Outcome
tsug がリデザインに着手した2018年以降、事業は本格的な成長フェーズに入った。新アプリ刷新直後の2021年3月期、ドコモ・バイクシェアはサービス開始以来初となる黒字転換を達成(営業利益約5,900万円)。以後、2022年3月期 8,400万円、2023年3月期 2億2,700万円(+169%)、2024年3月期 1億4,500万円と4期連続の黒字を継続し、2025年3月期には売上高約40億円規模まで成長している。利用回数も2011年度の年間4万回から、2019年度1,200万回、2024年度には約2,380万回まで伸び、全国65地域で運営される公共インフラとしての位置づけを確立した(日経クロストレンド / 業績は gamebiz 等の公開情報による)。NOLL ブランドへの刷新が予定されており、その先に向けてサービス改善が継続している。