hey office
2022
01. Context
hey(旧 Coiney → 現 STORES)は、STORES ブランドで商売をする企業や個人向けに、キャッシュレス決済、ネットショップ、オンライン予約、POS レジなどを提供する日本のスタートアップ。2025年までのオフィスデザインを一貫して担当した。
「なぜ出社するのか」「集まって何をするのか」を空間で答えることが、コロナ禍を経たオフィス再設計のテーマだった。
02. Concept
中核に据えたのは「diverse collaboration」── 多様なコラボレーションをかたちにすること。
働き手の状態を 2×2 マトリクスで整理した:
| リラックス | 集中 | |
|---|---|---|
| インプット | 学び・読む | 黙々と考える |
| アウトプット | ゆったり話す | ワイワイ作る |
この「気分のモード」と「目的のモード」から導かれる4モードを、その日の主な仕事内容に応じて選べるようにする ── これが空間全体の設計原則になった。
オフィスは単なる場所ではなく、色や形・素材・配置のひとつひとつに意図と意味を持たせる "デザインシステム" として組み立てた。ウェブサービスや UI の世界では当たり前になっている「デザインシステム」の方法論を、空間に持ち込んだのが本案件の方法論的な核である。
03. Structure
コンセプトを、空間・什器・グラフィック・運用の各層に翻訳した。
- 4 つのゾーニング:4 モードに対応する空間を、ひとつのフロアに共存させた
- オープンデスクゾーン:ワイワイ話す/ワークショップ用
- ラウンジゾーン:ゆったり話す
- ライブラリーゾーン:学ぶ
- ワークブースゾーン:一人で黙々とこもる
- 変形のれん:4つのゾーンを長さ14mの特注「変形のれん」でゆるやかに区切る。固い壁ではなく、空気を通しつつモードを切り替える仕掛け。素材作家の中むら氏が制作。ビジュアルコンセプトは「素材の発掘」── 異なる価値観を持つメンバーが集ってサービスを作り上げる hey の組織哲学を象徴
- 放送スタジオ:オフィスの中心に全社イベントを放送できる専用スタジオを設置。物理出社と配信を前提の両立で組み立てた
- STORES オーナー体験コーナー:STORES を使うオーナーの商品を試せるコーナーを空間に組み込み、「自分たちが支えているお客様」と日常的に接続する装置に
- アートワーク:桑田卓郎・舘鼻則孝・Stephanie Quayle 各氏の作品を選定・配置。組織の思いや哲学を想起させる意匠装置として空間に置く
- 家具計画と運用ルール:4ゾーンそれぞれに最適化された家具選定と、モードを切り替えていくための運用上のガイドライン
- ビジュアルディレクション:hey デザイナー @chucaaan 氏とビジュアルエレメントを協働
04. Role & Engagement
- Mode: Creative Direction / Spatial Design
- Duration: 2022
- Touchpoints: 概念設計 / 構造設計 / 浸透計画
05. Outcome
- ウェブサービス/UI の世界で標準化している「デザインシステム」の方法論を空間に持ち込んだ事例として、空間デザイン領域への接続のひとつのモデルになった
- Coiney 創業期から続く hey/STORES とのサポート関係のなかで、組織の成長フェーズに合わせてオフィスを複数回アップデートしてきた継続伴走の最新層
06. Voice
色や形の意図を言語化し、組織が運用できるデザインシステムとして空間を組み立てた事例。