MOALA Ticket(旧 Quick Ticket)
2017
01. Context
playground 株式会社が運営する電子チケットサービス Quick Ticket(2020年7月に MOALA Ticket へリブランド)の物理スタンプデバイスを担当。スマートフォン画面に専用スタンプを押すことで「もぎり」を成立させ、不正転売を物理的に防ぐサービスにおいて、プロダクトデザイン+素材開発+量産プロデュースを引き受け、「単に押せるスタンプ」ではなく、サービスのアイデンティティそのものを担うアイコニックなプロダクトに置き換える方針を提示した。
02. Concept
中核に据えたのは、「電子チケット時代の "もぎり" を、現場スタッフが誇りを持って手に取れる、サービスのシンボルとなる物理プロダクトとして成立させる」こと。
スマホ画面に反応させるためには本体に導電性樹脂を用いる必要があり、その素材特性ゆえに「持ち方」にはあらかじめ制約が生まれる ── 通電に寄与する部分と、ユーザーの手が触れる部分の関係を、構造として設計するしかない。tsug はこの制約自体をスタイリングのドライバに転化した。導電性のための持ち方ルールをクリアしつつ、握りやすさ・量産しやすさ・アイコニックな佇まいを同時に成立させる輪郭として行き着いたのが、サービス名 "Quick Ticket" の頭文字を立体化させた Q 字のシルエットである。シンボルとしての視認性と機能要件が、ひとつの形のなかで重なっている。
03. Structure
tsug は物理プロダクトと量産までの全工程を担当した。
- Industrial Design:Q 字をモチーフとした本体造形、グリップと操作面の統合
- Materials Development:スマホの静電容量パネルに確実に反応する導電性樹脂の選定・配合・成形条件を、量産工場と協働してテスト&プロトタイピングを繰り返しながら確立
- Mechanical:構造設計、量産時の歩留まりと耐久性を見据えたパーツ構成
- Production Management:量産を担当する工場・製造会社のアテンド、量産立ち上げのマネジメント
スタンプの動作を支える MOALA Ticket のサービス側(Web・アプリ・ブランド VI)は playground 側で開発・運用されており、tsug の担当はその手応えを生む物理レイヤーに集中している。
04. Role & Engagement
- Mode: Product Design & Production
- Duration: 2017
- Touchpoints: 概念設計 / 構造設計
05. Outcome
- MOALA Ticket は現在、playground 株式会社が運営する電子チケットプラットフォームとして、チケットぴあをはじめとする大手と連携、東京都観光汽船などの導入事例を持ち、エンタメ・観光・イベント領域で広く稼働している
- tsug が手掛けた Q 字スタンプは、サービスのリブランド(Quick Ticket → MOALA Ticket)を跨いで残り続ける物理的アイデンティティとして継続使用されている
- 「特許化された不正転売防止の電子チケット仕様」を、現場で日常的に使われる業務道具として成立させ、サービスの拡大を物理レイヤーから支えた
06. Voice
電子チケット時代の "もぎり" を、導電性樹脂の制約・現場のグリップ性・サービス名のシンボルを同じ形で両立させたプロダクトとして物理化した事例。