NAVY × AEON レジゴー
2021 -
01. Context
NAVY.inc が主導する AEON Retail のセルフチェックアウト事業「レジゴー」において、ハードウェア・店舗空間・量産プロデュースの設計パートナーとして参画した。本当の問いは「巨大な既存産業(小売)における新しい体験を、現場オペレーションの移行・量産・導入のフリクションを超えていけるかたちで成立させること」── 物理プロダクトの設計だけにとどまらず、量産までの工程と店舗空間までを連続したワークフローとしてサポートした。
02. Concept
中核に据えたのは、「お客様がスマホで商品をスキャンしながら買い物する」という新しい体験を、誰にとってもとっつきにくくない物理レイヤーとして成立させることだった。
- プロダクトの佇まい:難しい作法や業務機器的なお仕着せ感を排除するカラーと形状。初めて手に取る来店客が、説明を受けずとも自然に触れられる印象に振った
- 空間の可変性:店舗ごとに広さも導線もオペレーションもスタッフ配置も異なる ── その事情の違いを吸収できるよう、店舗空間を可変モジュールシステムとして設計。既存のレジ・売場・人の流れと共存しながら、必要に応じて拡縮・置換できるかたち
- 量産可能であること:「ひとつ作れる」ではなく「数百店舗で同じ品質で同じ運用ができる」ことを前提に、最初から量産工程・調達・設置・補修を見据えた設計判断
これらは別々の設計テーマではなく、「新体験を巨大現場に着地させるための一連のフリクション削減」という同じ問いの異なる側面として束ねられている。
03. Structure
NAVY.inc 主導のプロジェクトのなかで、tsug は物理レイヤーと量産までの全工程を担当した。
- Industrial Design:以下4種類の物理プロダクトのデザイン
- カートに装着するスマホホルダー
- OEM スマホを組み込む新設計の独自ケース=決済端末
- 店内設置の充電ステーション
- セルフレジエリアのゲート
- Space Design:上記4プロダクトを軸に、複数店舗の事情差を吸収できる可変モジュールシステムとしてのセルフレジエリア設計
- Physical UX:端末の操作導線、ゲート前後の動線、初回利用者のオンボーディング動線など、物理プロダクトと空間まわりの体験設計
- Production Produce:4プロダクト全てに対し、製造業者・量産工場のアテンド、機材選定、量産マネジメント
レジゴーのスマートフォンアプリ/サービスソフトウェア/ブランドは NAVY.inc・AEON 側で開発・運用されており、tsug は手触りとオペレーションが起きる物理/空間レイヤーに集中して受け持った。
04. Role & Engagement
- Mode: Hardware & Space Design / Production Produce
- Position: NAVY.inc が主導する事業の物理/空間/量産レイヤー担当
- Duration: 2021 -
- Touchpoints: 概念設計 / 構造設計 / 浸透計画
05. Outcome
レジゴーは AEON Retail のセルフチェックアウト体験として広く展開され、2024年6月時点で300店舗超まで導入が進んでいる(イオン公式リリース)。客数の増加や買い上げ単価の向上といった成果が業界紙でも繰り返し報道されており(流通ニュース他)、日本の小売 DX における代表的事例のひとつとして位置づけられている。tsug が手掛けたハードウェア群と空間モジュールは、このスケールでの日常運用を物理レイヤーから支えている。
06. Voice
巨大な小売業の現場と新しい体験のあいだに発生する量産・導入・オペレーション移行のフリクションを、物理プロダクトと可変モジュール空間で解いた事例。